エコキュートの風呂釜のお掃除が気になってこの記事にたどり着いた方へ。最初にひとつお伝えしておきたい前提があります。
エコキュートには、厳密な意味での「風呂釜」がありません。あるのは、浴槽と貯湯ユニットを結ぶ「ふろ配管」と、その先の「熱交換器」です。それでも多くの方が「風呂釜洗浄」という言葉で探しているのは、ガス給湯器の時代からその呼び方が定着しているからです。
実は、この言葉が洗浄剤選びで迷う原因にもなっています。ドラッグストアに並んでいる風呂釜洗浄剤は、もともとガス給湯器の風呂釜を想定した商品だからです。
住宅設備アドバイザー・エコ美我が家も三菱のエコキュートを2022年に設置して、今年で4年目です。洗浄剤を買ってきて、パッケージの裏面と取扱説明書を並べたところ、書いてある手順が違っていて驚きました。
そんな内容も踏まえて、この記事では、エコキュートの風呂釜洗浄の正しいやり方を主要メーカー5社の公式情報をもとに、市販の洗浄剤のパッケージと三菱の取扱説明書を実際に並べて比較しています。
エコキュートの風呂釜に市販の洗浄剤は使える?


まずはみなさんが一番知りたい、エコキュートの風呂釜洗浄に市販の洗浄剤(ジャバなど)を使ってもいいのかの回答をお伝えします。
エコキュートの風呂釜洗浄には、ジャバが使えます。
- 市販の風呂釜洗浄剤「ジャバ(1つ穴用)」は、主要メーカーの多くが公式に使用を認めています
- ただし、洗浄剤のパッケージに書かれた手順のままでは、エコキュートの洗浄になりません
- 操作はリモコンの配管洗浄機能で行い、時間も水位もパッケージとは別の基準になります
なぜパッケージ通りではいけないのか
風呂釜洗浄剤の使用方法には、たいてい「◯分ほど追いだき運転する」と書かれています。ガス給湯器なら、追いだきを回せば浴槽の湯が風呂釜と配管を循環するので、これで洗浄になります。
ところがエコキュートの追いだきは、貯湯タンクの熱で浴槽の湯を温め直す機能です。洗浄のための運転ではありません。
エコキュートには配管洗浄専用の運転モードが別に用意されていて、洗浄剤を使うときはそちらを動かす必要があります。運転時間も、パッケージが想定している長さとは桁が違います。
具体的にどう違うのかは、この記事の後半で表にして並べています。
メーカー5社が公式に認めている洗浄剤は?
まず「そもそも市販品を使っていいのか」を確認します。
各社の公式サイトおよび取扱説明書の記載を、1社ずつ当たりました。
5社の記載一覧
| メーカー | 純正洗浄剤 | 市販洗浄剤の扱い |
|---|---|---|
| ダイキン | なし | 推奨洗浄剤としてジャバ(1つ穴用)を名指し |
| 日立 | なし | 推奨洗浄剤はジャバ(1つ穴用)。硫黄・酸・アルカリを含むものは使用不可と明記 |
| 三菱電機 | 配管洗浄剤 BJ-070L | 市販品を使う場合はジャバ(1つ穴用)に限る。それ以外の市販洗浄剤は使用不可 |
| コロナ | クリーンエース(UKB-53) | 市販のジャバ(1つ穴用)も使用可 |
| パナソニック | ふろ循環回路洗浄剤 AD-3755A-2AH | 市販の給湯機用ふろ釜洗い洗剤(1つ穴用)も使用可。商品名の指定はなし |
「各メーカーともジャバを推奨している」という説明を見かけることがありますが、5社の記載を並べると、扱いはそれぞれ違います。
三菱だけ、市販品の選択肢が1つに絞られている
いちばん制限が強いのが三菱です。純正のBJ-070Lを基本としたうえで、市販品を使う場合はジャバ(1つ穴用)だけ、それ以外の市販洗浄剤は使えない、とはっきり書かれています。
我が家の機種も三菱なので、これは大事なポイントでした。「酸素系だから大丈夫だろう」といった判断で別の商品を選ぶ余地が、そもそもありません。
パナソニックはジャバを名指ししていない
一方でパナソニックは、純正品を推奨したうえで「市販の給湯機用ふろ釜洗い洗剤(1つ穴用)も使える」という書き方をしています。カテゴリで指定していて、特定の商品名は挙げていません。
結果としてジャバも1つ穴用の風呂釜洗浄剤ですから該当はしますが、メーカーが名指しで推奨しているわけではないという点は、三菱・日立・ダイキンとは温度差があります。
日立は成分レベルで禁止を書いている
日立は推奨洗浄剤としてジャバを挙げつつ、硫黄・酸・アルカリを含む洗浄剤は使わないよう指定しています。
商品名ではなく成分で線を引いているので、純正品も推奨品も手に入らずに別の商品を検討する場合は、この基準で確認することになります。
「1つ穴用」と「2つ穴用」を間違えない
風呂釜洗浄剤には1つ穴用と2つ穴用があります。エコキュートで使うのは1つ穴用です。
2つ穴用は、浴槽に穴が上下2つあり、自然対流で湯が回るタイプの風呂釜を想定した商品です。エコキュートは循環ポンプで強制的に湯を回す方式なので、構造が違います。
売り場で隣に並んでいることが多いので、ここは買う前に確認してください。
洗浄剤のパッケージと三菱の取扱説明書を並べてみた
個人的には、ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
我が家の三菱 SRT-S375UZ(Sシリーズ・薄型370L・フルオート)の取扱説明書と、購入したジャバ(1つ穴用)のパッケージ裏面を、項目ごとに比べてみました。
洗浄剤パッケージとメーカー取扱説明書の比較
| 項目 | 洗浄剤パッケージの記載 | 三菱の取扱説明書 |
|---|---|---|
| 動かす運転 | 5分ほど追いだき運転 | 洗浄スイッチを3秒以上押して配管洗浄運転 |
| 洗浄時間の目安 | 5分運転+約10分放置 | 約1時間 |
| すすぎ | 水をためて5分ほど追いだき運転 | 水で湯はりし直して約30分 |
| 水位 | 穴より約5cm上 | 浴槽アダプターの中心から約10cm以上 |
| 使用量 | 標準的な浴槽(約300L)に1袋全量 | 配管洗浄剤を1袋 |
| フィルター | 外さずに使用 | 外さない |
| 入浴剤入りの残り湯 | 使用しない | 使用しない |
後半3部分の項目は一致しています。注目してほしい問題は前半です。
洗浄時間が6分の1以下になってしまう
パッケージの手順で終わらせると、洗浄に相当する時間は15分ほどです。
三菱の取扱説明書が示している目安は約1時間。しかも、停止操作をしなければ数時間で自動停止する設計になっていて、汚れの程度に応じて時間を調節するよう書かれています。
つまり、設計側は「1時間かけて回すもの」として想定しているわけです。15分で切り上げてしまえば、洗浄剤を入れた意味がかなり薄れます。
すすぎも同様で、パッケージは5分、取扱説明書は約30分の目安です。すすぎが足りないと洗浄剤の成分が配管内に残ります。ここを省略しない方がいい理由は、次に湯を張るときのことを考えれば明らかだと思います。
「追いだき運転」では洗浄になっていない
前述のとおりです。パッケージの指示どおりに追いだきスイッチを押しても、エコキュートは湯を温め直すだけで、配管洗浄運転には入りません。
三菱の場合は洗浄スイッチの3秒長押し、ダイキンは配管洗浄ボタン、コロナは「さし水」または「ぬるめ」スイッチの3秒押しといった具合に、操作はメーカーごとに違います。



手元の取扱説明書で「ふろ配管のお手入れ」の項を確認するのが確実です!
水位の基準も違う
パッケージは循環口の穴から約5cm上、三菱の取扱説明書は浴槽アダプターの中心から約10cm以上を指示しています。同じ場所を測っているわけではないので単純比較はできませんが、三菱の基準の方が高めです。
そして三菱の説明書には、水位がアダプターより低いと洗浄運転自体ができない旨が書かれています。
パッケージの数字だけを見て湯を減らしてしまうと、運転が始まらないか、途中で止まる可能性があります。
パッケージ自身が「メーカーの取説を見て」と書いている
いちばん決定的なのがコチラです。
ジャバのパッケージ裏面には、エコキュート・24時間風呂・ジェットバスの配管洗浄について、本文の手順とは別枠で注意書きが設けられています。
趣旨は「機種によって使用方法が異なり、使用できない場合もあるので、メーカーの取扱説明書を参照するか、ボタンの機能を確認したうえで使うこと」。
要するに、パッケージ本体に書かれた手順はエコキュートを想定していないと、製造元自身が明示しているわけです。ここに気づかないまま、表面の大きな文字だけを読んで作業している方は、少なくないのではないかと思います。
自動配管洗浄が付いていても、洗浄剤が必要な理由


「うちの機種は排水すると勝手に洗ってくれるから、洗浄剤は要らないのでは」と思う方もいるはずです。我が家の機種にも三菱の「バブルおそうじ」が付いています。
結論から言えば、自動洗浄と洗浄剤による洗浄は役割が別です。これはメーカー側が公式に書いています。
自動洗浄が洗える範囲は限られている
三菱の取扱説明書には、バブルおそうじについて次のような趣旨の記載があります。
- 浴槽アダプターの表面や、配管経路以外の内部は洗浄されない
- 浴槽そのものは洗浄されない
- 自動洗浄で剥がれた配管や熱交換器内のゴミが、浴槽に出てくることがある
- 汚れが目立つ場合は、洗浄剤を使った循環洗浄をすること
最後の一文に注目してください。設計上、自動洗浄だけで完結するわけではなく、汚れの強い箇所は洗浄剤を使用する様、使い分けが必要になります。
自動洗浄が作動しない条件が、思ったより多い
同じ取扱説明書の「故障かな」の項には、自動洗浄がはたらかない・はたらかないことがある条件が列挙されています。
- 残り湯を洗濯に使った場合
- 湯はりが完了する前にふろ自動を切った場合
- ふろ自動スイッチを使わず、蛇口から湯を入れた場合
- 浴槽の水面が波立った状態で栓を抜いた場合
- 排水口にゴミが詰まってゆっくり排水された場合、あるいは極端に速く排水された場合
- 手動洗浄を行った直後(次のふろ自動後の排水まで自動洗浄は動かない)
残り湯を洗濯に使うご家庭は多いはずです。
心当たりがある条件が1つでもあれば、「毎回自動で洗われている」という前提は崩れます。
紫外線除菌機能も、付いた汚れを落とすものではない
三菱のSシリーズには「キラリユキープ」という紫外線による除菌機能もありますが、こちらも取扱説明書に、新たに発生する汚れを抑制するもので、すでに付着している汚れやヌメリは落とせない旨が明記されています。
髪の毛や湯あかを除去する機能でもありません。
自動洗浄も除菌機能も、洗浄剤の代わりにはならない。これが公式記載から読み取れる結論です。
エコキュートで洗浄剤(ジャバ)を使う手順
我が家の機種・三菱(SRT-S375UZ)の取扱説明書に沿って整理します。
同じ三菱でもシリーズや年式で操作が違う場合があるので、必ずお手元の説明書と照らし合わせてください。
エコキュートでジャバを使用する準備
- 入浴後、ふろ自動運転を「切」にする
- 浴槽の湯を排水せずに残しておく(水位は浴槽アダプターの中心から約10cm以上)
- 配管洗浄剤を1袋入れ、一箇所に固まらないよう全体に行きわたらせる
浴槽アダプターのフィルターは外さずにそのまま作業します。
剥がれた汚れや髪の毛が配管へ流れ込むのを防ぐためで、これは洗浄剤側の説明書きとも一致しています。
洗浄
- 洗浄スイッチを3秒以上押す
- そのまま約1時間おく
- 洗浄スイッチを押して停止させ、浴槽の栓を抜いて排水する
洗浄中は浴槽アダプターから気泡が出て、配管内の汚れが浴槽に出てくることがあります。これは正常な動作です。
すすぎ
- 浴槽の栓を閉じ、水で湯はりして浴槽アダプターが隠れる程度までためる
- 洗浄スイッチを3秒以上押し、約30分すすぐ
- 排水して浴槽を掃除する
洗浄剤のにおいや水の濁りが気になる場合は、すすぎ時間を延ばして構いません。
ここを面倒がって省くと、配管内に成分が残ります。
やってはいけないこと
エコキュートの風呂釜洗浄を行う時に、やってはいけないことを3つご紹介します。
- 入浴剤入りの残り湯で洗浄しない。洗浄効果が落ちます
- 貯湯タンクに洗浄剤を入れない。洗浄剤を使うのはふろ配管だけです
- メーカーが認めていない市販洗浄剤を使わない。特に三菱はジャバ(1つ穴用)以外の市販品を認めていません
間違った方法で使用すると、場合によっては製品の故障に繋がるリスクもあるので、メーカーの取り扱い説明書の内容に従って利用するのがいちばん安全です。
配管以外にやっておきたいエコキュートのお手入れ
風呂釜洗浄と一緒に済ませてしまうと効率がいい項目です。
私の手元にある三菱の取扱説明書に記載されている頻度も併記します。
貯湯タンクの水抜き(年2〜3回)
タンクの底にたまった沈殿物を押し流す作業です。
- 貯湯ユニットの電源レバーを「切」にする
- 脚部カバーが付いていれば外す
- 給水配管専用止水栓を閉じる
- 逃し弁のレバーを手前に起こす
- 排水栓を約1〜2分間開く
- 排水栓を閉じ、給水配管専用止水栓を開く
- 排水口から勢いよく水が出たら、逃し弁のレバーを戻す
排水されるのは熱い湯です。触らないよう気をつけてください。
また、排水ホッパーからあふれないよう、栓の開き具合を調整します。
逃し弁と漏電遮断器の点検(年2〜3回)
逃し弁は、レバーを起こしたときに排水口から水(湯)が出るか、レバーを戻したときに止まるかを見ます。止まらない場合は施工店へ連絡が必要です。
漏電遮断器は、テストボタンを押して電源レバーが「切」になるかを確認します。終わったら必ずレバーを戻してください。
浴槽アダプターのフィルター(日常)
浴槽の湯を抜いたあとに、フィルターを外して歯ブラシで網目の汚れを取り、水洗いします。外面だけでなく内面からも汚れを落とすのがポイントです。
取り付けるときは向きを合わせ、カチッと音がするまで回します。取り付けが緩いと運転中に外れることがあります。なお、強酸性の洗剤や塩素系のカビ取り剤は使わないよう指定されています。
洗浄しても改善しないときは、寿命のサインかもしれません
ここまでのお手入れをきちんとやっても症状が変わらない場合、原因が汚れではない可能性があります。
においや濁りが繰り返し戻ってくる
洗浄直後は改善するのに、数日でまた同じ状態に戻る。
この場合、配管や熱交換器の内部が洗浄では戻らないところまで劣化していることがあります。
ヒートポンプ配管は10年以内に交換、と説明書に書かれている
見落とされがちですが、三菱の取扱説明書には、使用環境によるとしたうえでヒートポンプ配管を10年以内に交換するよう記載があります。本体ではなく配管の話です。
また、定期点検については3年に1度、10年程度使用している場合は毎年の受診を勧めています。「壊れるまで何もしない」という前提で設計されてはいません。
修理か、交換か迷ったら?
エコキュートの一般的な使用年数は10年から15年程度とされています。設置から10年を超えている場合、部品の保有期間(メーカーが補修部品を持っている期間は製造打切り後10年)の問題も出てきます。
修理費用が高額になるようなら、交換した方が結果的に安く済むケースは珍しくありません。判断材料としては、次の順で確認するのが現実的です。
- 設置からの経過年数
- エラーコードの有無と内容
- 修理見積もりの金額
- 利用できる補助金の有無
エコキュートの風呂釜洗浄に関するよくある質問
何年もエコキュートを洗浄していないのですが、今からやって大丈夫ですか?
問題ありません。ただし、初回は汚れが大量に出る可能性があります。
三菱の説明書にも、汚れの落ち具合に応じて洗浄時間を調節するよう書かれているので、1時間で足りなければ延長して構いません。1回で落ちきらない場合は、日を改めてもう一度行ってください。
普段入浴剤を使っていますが、風呂釜洗浄に影響はありますか?
洗浄剤を使う日は、入浴剤の入っていない湯で行ってください。効果が落ちます。
日常的に使う入浴剤にも制限があります。三菱の場合、大手メーカーの一般的な入浴剤は使用できるとしたうえで、にごりタイプは不可、さらに炭酸ガスで発泡するもの、炭酸カルシウムを含むもの、硫黄成分、塩化ナトリウム、シリカ成分を含むものは使わないよう指定されています。
銘柄ごとの可否は各メーカーの案内が更新されることがあるので、購入前に確認するのが確実です。
エコキュートの風呂釜の洗浄頻度はどのくらいですか?
洗浄剤のパッケージは1〜2か月ごとを勧めています。三菱の取扱説明書は「汚れが目立つ場合」という書き方で、自動洗浄機能のない機種向けには1〜2か月に1回という記載があります。
我が家では、季節の変わり目に年2〜3回、貯湯タンクの水抜きと一緒に行うようにしています。排水時に汚れが浴槽に出てきたときは、そのタイミングで追加します。
エコキュートの風呂釜洗浄は業者に頼んだほうがいいですか?
自分でできる範囲は、上記の手順でカバーできます。業者による高圧洗浄サービスもありますが、依頼を検討する価値があるのは、洗浄剤を使っても症状が改善しない場合です。
なお、貯湯タンク内部の分解洗浄はメーカーが想定していない作業です。タンク内の清掃は、メーカーの定期点検(有料)のメニューに含まれています。
エコキュートの風呂釜洗浄はジャバで解決!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事でご紹介したポイントをおさらいします。
- エコキュートに「風呂釜」はなく、洗うのはふろ配管と熱交換器
- 市販のジャバ(1つ穴用)は主要メーカーの多くが公式に認めている。ただし三菱は市販品をこれ1つに限定し、パナソニックは商品名を指定していない
- 洗浄剤のパッケージの手順は、エコキュートを想定していない。パッケージ自身がメーカーの取扱説明書を参照するよう案内している
- 洗浄時間は約1時間、すすぎは約30分が目安(三菱の場合)
- 自動配管洗浄が付いていても、洗浄剤による洗浄は別途必要
- 洗浄しても改善しない症状は、汚れではなく機器の劣化を疑う
洗浄剤の値段はドラッグストアで数百円です。それで配管の状態が確認できて、寿命のサインにも早めに気づける。
年に2〜3回の作業としては、悪くない投資だと思います。







